研究概要 |
平成21年度の成果は以下のとおり。 (1)日本語と英語の二言語環境下で育つバイリンガル発達障害児の言語コミュニケーションの発達過程を検討するため研究協力者を募り、9名の協力者を得た。3名については言語コミュニケーションのテスト、認知テストおよび自然会話データの収集を開始した。6名については、データ収集を開始するためのスケジュールを作成中。 (2)当初予定していた語用論分析シートに代わって、Children's Communication Checklist-2 (Bishop 2003,大井他訳2009)を採用し、現在、5歳児~9歳のASD児を対象に評定の信頼性等について検討中である。 (3)米国イリノイ州の日本語と英語の二言語併用プログラムの小学校(Dooley School)の視察、現地の臨床心理士、スクールカウンセラー、教師等からバイリンガル発達障害児の教育支援について情報収集をした。また、同小学校に在籍するバイリンガルASD児2名について参加観察および親面接を行った。 (4)日英バイリンガルの統制群の研究協力者を募るため、首都圏を中心にバイリンガル教育関係のNPO、心理士等とのネットワークを作り、現在、協力者が集まりつつある。また、Dooley Schoolの日英バイリンガル定型発達児の研究協力への依頼を行った。 (5)バイリンガルASD1名については、第21回日本発達心理学会において事例研究発表を行った。教育言語である日本語の影響が大きいものの、二言語ともに維持しており、学校適応も改善されつつあること、また、言語コードスイッチや文法力が良好に発達しているという点を報告した。 (6)バイリンガルASDの成人の発達過程について、親面接を行い情報収集をした。 (7)研究の広報活動等を通してバイリンガル発達障害児の家族、支援者ネットワーク構築を進めている。
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