研究概要 |
単純群Gの単位元以外の元gに対して、gとg^{-1}の共役類の和集合C_gを考え、集合{C_g|g∈G}上に次の距離を定義する。 d(C_{g_1},C_{g_2}=log min{k |g1∈(C_{g_2}^k, g_2∈(C_{g_1})^k}. この距離dを、松田能文、児玉大樹らと無限交代群A_∝=lim A_nに対してほぼ決定しているが、さらにその拡張について検討した。特に、共役類の台の大きさが定義されるときには、それが距離の非自明性についての第1の手がかりであることが分かった。 この研究のために7月に「トポロジーと確率論の諸相2010」研究集会を開催し、情報の収集につとめた。群の上での確率論的手法の応用について検討した。 6次元以上の偶数次元閉多様体M^{2n}の微分同相群Diff^r(M^{2n})(r\neq 2n+1)の恒等写像の成分Diff^r (M^{2n})_0は、一様完全であることおよび多様体が連結ならば一様単純であることを示した。この場合、多様体により、交換子積長の最大値、あるいは1つの元を非自明な他の元とその逆元の共役の積で書くための共役の個数は多様体に依存する可能性がある。この結果の証明の整備のために、モース関数と胞体分割の関係について詳しく研究した。なお、この結果により、閉多様体の一様完全性の問題は2次元多様体、4次元多様体を除いて解決された。
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