松本は斎藤睦夫と、グラフィックプロセッサのアーキテクチャに特化した疑似乱数発生法MTGP、ならびにパラメータ生成法MTGPDCを開発し、ホームページ上で配布開始した。この生成法はGPUの持つ高い並列性を、MT型の配列の並列更新に利用するもので、MTより数倍高速になり、高次元均等分布性や特性多項式の項数の多さでもMTより優れている。MTGPに関する論文は投稿中で、肯定的なレフェリーレポートを受けている。また、2010年にグラフィックプロセッサ用にCUDA社が配布を始めたCURAND乱数の欠陥を解析し、シドニーで2012年2月に開催されたMonte Carlo Quasi Monte Carlo国際学会で発表した。この方法はCUDA社がスタンダードとして導入したものであるが、6次元での均等分布性に大きな偏りがあり、簡単で短い統計的検定により棄却されることを理論・実験の両面で示した。松本・斎藤睦夫・K. Matobaは、Walsh係数のJ. Dickによる評価を離散化し、評価関数のフーリエ変換のclosed formulaを与えることで、Quasi Monte Carlo点集合に対する高速計算可能な新指標Walsh Figure of Meritを提案し、同学会にて発表した。論文は投稿中である。同学会で、原本博史は2べきを法とした線形擬似乱数の下位ビットの分布を正確に計算する方法を一般化MacWilliams恒等式を利用して求め、発表した。この方法を用いて、検定により棄却されるサンプルサイズは、下位1ビットを捨てるごとに概ね4倍になることが実験的に示された。
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