昨年6月、インド・プネの国立電波天文学センター(NCRA)の持つ巨大電波干渉計(GMRT)により、6つの低温矮星電波源を3周波で観測し、電波源が光学的に観測される星に同定されるかどうかを検証した。これらの矮星は、光学スペクトルからM型矮星である事が確実で、かつ数秒角以内に波長21cmの点状電波源が存在する。観測は、総研大大学院生の小池、およびインド人研究支援者ラメッシュにより3つの周波数で行われ、順調にデーターを得る事ができた。データ解析の結果、6つの電波源のうち3つは光学的に得られた星の位置に1秒角以内の精度で一致し、また大きな強度変動のあるもののあることがわかった.この結果について議論を行う為、12月に研究支援者ラメッシュを日本に招き、ディスカッションを行った。3周波での観測結果のうち最も高い周波数での結果は、1つの星については、その早い強度変動から低温矮星からの電波である事を強くサポートするが、他の星については左上がりのスペクトルを持ち強度変動も少ない事から疑問点がやや残り、更なる解析が必要であることが結論された。最も低い周波数については、この周波数で普遍的な人工信号が多くの載り、解析に手間取っているが、まもなくデータ解析を終了する予定である。これらの結果は、低温矮星電波源候補の選択条件として、光学天体との位置の一致、光学スペクトルによる矮星である事の確認の2つの他に、連続波電波スペクトルの特徴、短時間変動の有無、など多くの検証が必要である事が確認された。
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