研究課題
QED場からの熱輻射探索について:これまでに、産業技術総合研究所(AIST)にて、電子・レーザーパルス交差装置を用いて、熱輻射の徴候を検討するためのデータ取得を試みた結果、装置内で生じるバックグランドの水準は遮蔽体の追加によりある程度低減できたが、さらにバックグランドレベルを下げるべく実験を継続する必要があった。しかし、東日本大震災の影響のためAIST内装置の総運転時間が制限され、本実験について23年度内の割り当て時間を確保できなくなった。QCD場からの熱輻射探索について:高エネルギー原子核衝突において、パートンが感じる加速度が最大になる方向として、ビーム軸上に出る熱輻射を探索する。金・金衝突データを用いて、中心衝突が起こっていることを要求した上で、ビーム軸上に設置された検出器に、熱輻射の徴候があるかどうか調査を試みた。しかし、一回の衝突あたりに複数の衝突事象が混入する事象と、超前方の輻射事象とを分離することは現状の検出器システムでは難しいという判断に至った。さらに、高強度レーザー場中の電子からの輻射をより広く捉えると、電子からの輻射光子とレーザー場中の相互作用に着眼する必要も生じる。その場合、(仮想)光子・光子散乱を議論しなければならなくなる。レーザー場中の光子・光子散乱は、第一にQEDの過程として理解されるが、光子・光子の散乱過程において、暗黒物質や暗黒エネルギー源等になり得る極めて軽い場の崩壊に起因する輻射もあり得る。いずれにしろ、光子・光子の前方散乱においては、レーザー光に含まれない高調波が発生する可能性があるため、これらについて考察を深めた。強い場から生じる、粒子の多重生成に関する国際シンポジウム、International Symposium on Multiparticle Dynamics (ISMD2011)を主催し、上記の研究に関連したセッションにて研究活動を公表した。
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