本開発研究が目指すデバイスは、PPDの優れた特性と光電子増倍管で使われる電子打ち込みの技術、近年発展が著しい高速シンチレータを組み合わせる画期的なハイブリッド検出器である。 21年度は、提案する電子打ち込み光増幅の原理実証するための評価用電子管を試作した。その構造は、約50ミリの円筒形のガラス真空バルブよりなり上部には、20ミリ径のUVガラスの窓を配置してその内面に金を蒸着して光電面を形成している。光電面下方には光電子加速用の電極をもうけて最大10kVの高電圧にてアノードに向けて静電収束・加速をして、打ち込むことができる仕様となっている。 アノードなる管内下部のトレイには被打ち込みのシンチレータと光検出器(PPDなど)を設置でき、信号を取り出すことが可能である。内部を10^<-4>Pa程度の真空とすることで、電子管としての評価ができる。 この評価管を用いて、発光体としてWLS含有ファイバーあるいはシンチレーションファイバーのコイルやLYSOなどの高速シンチレータを、光検出器として(ガイガーモードマルチピクセルフォトンセンサー)PPDを使うことで光電管の優れたシングルフォトン感度を持ちながら電子打ち込みによる増倍により実現される高い信号閾値を活用し、ノイズカウントレートの極めて低い光センサーの実現可能性が検討できる。 22年度にはこれを用いて、発光体、光センサー用いて本提案の原理実証をおこない、実機試作へと繋いでいく。
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