研究課題
現在、ミクロスケールの視点から摩擦現象のメカニズムの解明を目指すナノトライボロジーが発展し、新しい知見に基づく摩擦の軽減・潤滑の開発に大きな貢献をすると期待されている。固体・固体間のエネルギー散逸は、見かけの接触面で一様に起こることはなく、ナノスケール領域での固体間距離(または荷重)と物性に依存し、どこで、どのように起こるかを答えなければならない。そのためには、面間にも1面内方向にもナノスケールの分解能を持って直接にエネルギー散逸を測定することが必要となる。本研究の目的は、動摩擦によるエネルギー散逸を直接測定できるエネルギー散逸顕微鏡を開発することにあり、原子間力顕微鏡(AFM)と水晶マイクロバランス(QCM)を組み合わせること実現できる。平成22年度はグラファイト基板について水晶振動子の振動振幅とAFM探針の荷重を制御して、室温・大気圧下においてQCMの共振振動数とエネルギー散逸の測定を行った。振動振幅が0.05~50nmの範囲の測定結果によると、エネルギー散逸は振動振幅がおよそ0.5nmにおいて最大となる。また、この性質は荷重が数10~数100nNの範囲で変わらない。エネルギー散逸が最大となる振動振幅はグラファイト基板の格子間隔と近く、そのメカニズムは興味深い。今後は探針先端の性質を制御してエネルギー散逸の測定を行うことが課題である。
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Journal of Physics : Conference Series
巻: 258 ページ: "012019-1"-"012019-5"