研究概要 |
本研究では,プロトン互変異性物質において,非接触の方法で初めて電気伝導特性を系統的に調べ,さらに,マイクロ波顕微鏡を用いて局所的複素伝導度を測定することにより,新しい相転移のメカニズムを明らかにし,さらにこれらの相転移を光で制御することによりプロトン移動を利用した新しいタイプの光スイッチの開発をすることを最終定な目的としている。 本年度は以下のことを行った。 (0)本研究が採択されたのと相前後して,粉末の伝導度測定を行える10GHzの空洞共振器測定システムが壊れてしまい,新たなシステムを再構築した。新たなシステムでは,旧システムでの問題点を解決すべく改良を加えて,温度の安定度,データの再現性など,旧システムを上回るものができた。 (1)2-ヒドロキシフェナジン(1)及びその誘導体の合成を行った。 (2)2-ヒドロキシフェナジン(1)およびその類縁体のマイクロ波複素伝導度測定をおこなった。それらの結果は,(A)どの物質もヒステリシスを示すが,その大きさ,ヒステリシスの温度には一見して系統性がなく,現時点では構造などとの明確な相関は見られていない。 (3)走査プローブ顕微鏡(SPM)の基本ユニットを設置した。不測のトラブルとその修復に予想外の時間を要したために,本年度は基本ユニットの設置にとどまり,顕微鏡ユニットの改造は次年度の課題となった。
|