21年度に開発・作製したイオン運動量分布観測装置を用いて、光解離・イオン化に伴う異方性の測定を行った。 レーザー光解離・イオン化法を用いて、以下のような既にわかっている分子の光解離を観測し、装置の調整を行った。 A. 酸素分子を225nm付近のレーザー光が2光子でリュードベリ状態へ励起することができる。このリュードベリ状態は(1)更に1光子吸収してイオン化・解離する(2)解離して電子励起したO原子を生成し、それが1光子イオン化する、などの経路によってO^+イオンを生成する。このO^+イオンは様々な運動エネルギー放出を持ち、異方性も異なることが知られている。この過程を観測し、運動量分布観測装置の角度・速度測定の分解能などの性能を確認した。また、この解離反応の放出エネルギー量は既知であるので、画像観測装置のピクセルあたりの速度も決定された。 B. 同じO_2分子の光解離過程をレーザーの偏光面を回転させ観測した。これによって異方性を持たない分布が観測されるので、画像観測装置の2次元検出器として感度むらなどを確認した。 性格を十分につかんだ上で、画像観測装置を交差分子線装置に設置し、化学反応によって生成する金属酸化物MOの、角度・速度分布を観測することに成功した。この結果は、他の方法で測定した結果と良く一致しており、開発した装置の信頼性が確認されたといえる。
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