研究概要 |
外側球殻磁気流体への内側境界条件に対する影響を調べるために,3次元回転球殻磁気流体ダイナモモデルを用いた数値実験を行った.エクマン数を10^<-3>,プランドル数を1,レイリー数を臨界の約5倍に固定し磁気プランドル数を3, 5, 10の3通りに,与えた内側境界での条件を,浮力フラックスが(1)一様な場合,(2)赤道で最大,極で0となる分布の場合,(3)極で最大,赤道で0となる分布の場合,の3通りに変えて,対流が発達し自励的に磁場が発達する様子を観察した.得られた結果は次の通りである 1. 内側境界条件が(1), (2)の場合には磁場が自励的に発達し,ダイナモ作用が維持される解が得られたが(3)の場合には磁場が発達する解が得られなかった 2. (1)の境界条件の場合には内球が外側球殻より速く回転するのに対して,(2)の境界条件の場合には内球が外側球殻に対して逆方向に回転する.これは(2)の極方向の浮力フラックスに伴う浮力分布の緯度傾度が温度風バランスを通じて回転と逆方向の平均帯状流を生成し,その粘性応力によって逆方向に内球が回転させられると考えられる 3. 磁場が自励的に発達した解において内球内への磁場の貫入によるジュール熱は表面付近の10%程度に集中して分布する.これは内球外球境界付近のトロイダル磁場の時間空間変動が大きいために,表皮効果によって内球深くまで浸透できないからであると考えられる
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