研究課題
本年度は、昨年度行った地下水位が上昇した時に誘発される地すべりのパラメータ依存性の実験結果の解析を行い、投稿論文の執筆を開始した。まず湿った砂の降伏応力が水の飽和度にどのように依存しているかについて解析を行った。その結果、飽和度が10-80%の間で、降伏応力が乾燥した砂の約40倍になることが分かった。さらに条件を変えた合計18個の実験について、用いた湿った砂の充填率、飽和度を再計算し、得られた動画の画像を解析して、起きた滑りの回数を分類した。その結果、水位の上昇に伴い、滑りの回数は0から2回へと増加するが、水位が砂柱の半分以上になると、地滑りではなく、全体が押される土石流に変化することが分かった。このような分類はこれまでなされていない。ただし、異なった高さの砂柱を含めた実験については、どのように整理すべきかについては現時点では結論は出ていない。次に各実験について、底面および側面で測定した圧力および間隙水圧の時系列データの解析、及びレーザー変位計による、砂柱の上面の高さの計測の時系列データを解析した。その結果、一般的な傾向として、地下水の浸透に伴って、砂柱前方の底部の全圧力が低下するにい伴い、砂柱後方の底部の圧力が増加する傾向が見られた。これは、底面における圧力測定が地滑りの前駆過程をモニタリングする上で有効であることを示している。一方でレーザー変位計データは、水の浸透に伴い、ゆっくりと圧密が進行した後、変位が指数関数的に増大する様子が分かった。次のステップとしてレーザー変位計のデータを用いて、滑りが起きた時間を定義して、パラメータ依存性を明らかにする予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Earth and Planetary Science Letters
巻: 3042 ページ: 337-346
Journal of Geophysical Research
巻: 116 ページ: doi : 10.1029/2010JB007633
巻: 115 ページ: doi : 10.1029/2009JB006828
http://hakusan.s.kanazawa-u.acjp/~sumita/