22年度は、確立した分析手法を用いて、天然の珪藻、放散虫の分析を行った。 国際的な生物源オパールの酸素同位体比研究室間比較プログラム(Inter-laboratory comparison of the oxygen isotope composition of biogenic opal)へ参加した。この中で連続フロー質量分析によって、微小試料分析が行っていたのは我々だけであった。データ退避の結果、我々の分析システムでは他機関の試料導入量の1/0以下の試料導入量(約200μg)で分析を行ったにもかかわらず、他機関と同様、もしくはより高精度で結果を出すことが出来た。この結果はプログラム代表のDr.Chaplignによりまとめられ投稿中である。 南大洋の堆積物試料から抽出した珪藻殻化石、放散虫殻化石を用いて珪藻過去10000年間の高解像度分析、および過去500万年間の長期的変化を調べた。予察的な結果では酸素同位体比の変動は過去のこの海域における海氷消長と関連している可能性が高いことが明らかとなった。また放散虫殻化石の酸素同位体分析による過去の海洋環境の復元は初めての試みであり、珪藻殻の酸素同位体比との比較から分析を行った放散虫の酸素同位体比は過去の中層深度の環境を反映している可能性が高いことが示唆された。
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