現在の環境問題の最優先課題として温暖化ガス排出削減問題がある。省エネ対策や低炭素社会を目指した研究開発が多数進められている。 本研究は、地球極域における発散磁場を利用することで二酸化炭素など温室効果ガス種のイオン加熱と磁気ノズル加速を人為的に行い、地球外に温室効果ガスを排出する技術を確立することを目的としている。本研究では、微量含有分子性ガスの選択的イオン加熱の検証と高効率化、および地球磁場を模擬した磁気ノズルによるイオン加速とディタッチメント効果を実験的に明らかにし、温室効果ガス削減に向けた直接的手法としてその研究基盤の確立を目指す。 本研究の目的であるプラズマ加速を用いた温暖化ガスの地球外排出手法を確認するために、微量含有分子性ガスの選択的イオン加熱の検証と高効率化、および地球磁場を模擬した磁気ノズルによるイオン加速の実験を行った。昨年度では、模擬ガスとして二酸化炭素と質量の近いアルゴン、またさらに重いクリプトンガスを動作ガスとして高周波を用いたプラズマ生成実験を行い、磁化プラズマ中での波動励起とプラズマ化への検討を行い高密度生成に成功した。さらに、磁気ノズレにおけるイナン加速効果を検証するため、磁気ノズル場へプラズマ流を流入させ、個々のイオン流のマッハ数変化を観測した。プラズマ中のイオンはその熱エネルギーを軸方向エネルギーへと変換し、軸方向への加速効果が観測された。同時にイオンマッハ数、アルヴェンマッハ数などを計測し、磁力線からの離脱について検討を行った。
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