• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

多金属骨格に束縛された非平面型カルボカチオンの化学

研究課題

研究課題/領域番号 21655019
研究機関弘前大学

研究代表者

岡崎 雅明  弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20292203)

キーワードカルボカチオン / 鉄 / クラスター / ルイス酸
研究概要

昨年度までの研究成果により,バタフライ形構造をとる四鉄上において,架橋配位したプロモアセチレンから臭化物イオンを銀塩で引き抜くことで,非平面形エチニルカチオンが発生することを明らかにした。本年度は,非平面形カルボカチオンの準安定化において,最も適切な塩基の検討を行った。ピリジンおよびピリダジンとの反応では,銀塩を用いることなく,求核置換反応が進行することが明らかとなったが,いずれも陽イオン炭素への配位能が強く,求電子試薬との反応性を示さず,非平面形カルボカチオンの合成等価体としては適切ではないことがわかった。ピラジンとの反応では,求核性が弱いため,銀塩を添加する必要があるが,非平面形カルボカチオンを準安定化できることがわかった。例えば,水とは速やかに反応して,エチノール部位の生成を伴い,メチンおよびカルボニルが架橋配位した四鉄クラスターが得られた。一方,メタノールとの反応では,メトキシアセチレン配位クラスターが生成し,その合成単離に成功した。以上のとおり,ピラジンを塩基として用いることで,通常のシュレンクテクニックで取扱える程度に安定化され,かつ求電子試薬に対して高い活性を示すという「準安定化」に成功した。また,生成したメトキシアセチレン部位は興味深いことに水に不安定で,すぐに炭素-酸素結合の開裂を伴い,メチンおよびカルボニルが架橋配位したクラスターへと変換された。^<18>Oで標識した水を用いることで,その反応機構を考察した。今後は,非平面形カルボカチオンの特性を基盤とするルイス酸触媒への応用が期待される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 四鉄-四炭素相乗系錯体の化学2010

    • 著者名/発表者名
      岡崎雅明
    • 雑誌名

      触媒

      巻: 52 ページ: 236-242

  • [雑誌論文] Facile 1, 2-Migration of a Methyl Group on a {Dimethoxy(methyl)silyl}tu ngsten Complex: Formation of a Base-Stabilized (Dimethoxysilylene)(methyl) Complex2010

    • 著者名/発表者名
      Eiji Suzuki
    • 雑誌名

      Organometallics

      巻: 29 ページ: 5296-5300

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis and Characterization of K^<2>C, N-N-Silyliminoacyl Tungsten Complexes Cp^<*>(CO)_2W{k^<2>C,N-C(R)=NSiR^<'>_3}[R = Me, Et, i-Pr, t-Bu; R^<'> 3=(p-Tol)_2Me, (p-To1)_3, Et_3; Cp^<*> =η^<5>-C_5Me_5]: Thermally Induced Carbon-Carbon Bond Cleavage of Their Tminoacyl Ligands2010

    • 著者名/発表者名
      Eiji Suzuki
    • 雑誌名

      Organometallics

      巻: 29 ページ: 1839-1848

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis and structures of platinum diphenylacetylene and dithiolate complexes bearing diphosphinidenecyclobutene ligands(DPCB-Y)2010

    • 著者名/発表者名
      Yumiko Nakajima
    • 雑誌名

      New.J.Chem.

      巻: 34 ページ: 1713-1722

    • 査読あり
  • [学会発表] 酸化還元活性な四鉄-四炭素クラスターの化学2010

    • 著者名/発表者名
      岡崎雅明
    • 学会等名
      第27回無機分析コロキウム
    • 発表場所
      東北大学川渡共同セミナーセンター(宮城県大崎市)
    • 年月日
      2010-05-28
  • [図書] 錯体化学会選書「有機金属化学」2010

    • 著者名/発表者名
      中沢浩
    • 総ページ数
      299
    • 出版者
      三共出版
  • [図書] 無機化学命名法-IUPAC2005年勧告-2010

    • 著者名/発表者名
      N.G.Connelly
    • 総ページ数
      354
    • 出版者
      東京化学同人
  • [備考]

    • URL

      http://www.ric.hi-ho.ne.jp/organomet/index.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi