研究課題/領域番号 |
21655030
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
早下 隆士 上智大学, 理工学部, 教授 (70183564)
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研究分担者 |
遠藤 明 上智大学, 理工学部, 准教授 (00119124)
橋本 剛 上智大学, 理工学部, 助教 (20333049)
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キーワード | 糖鎖 / 識別機能 / アゾ色素 / 化学センサー / ボロン酸 / デンドリマー / 超分子 |
研究概要 |
これまでの研究において、末端にスルホ基を持つプローブ1-BAzo-NPはポリアミドアミン型のPAMAMデンドリマー上に静電的に集積させた際にプローブ同士の距離が制御されるため、デンドリマーの世代により異なる糖応答能を示すことが明らかになった。しかし、この系ではプローブとデンドリマーが静電的に結合しているため、pH変化に弱いという欠点がある。そこで本研究では、PAMAMデンドリマー上に末端にカルボキシル基を持つボロン酸型アゾプローブB-Azo-Cbを化学修飾した複合体B-Azo-Cb/PAMAMを設計し、複合体の糖認識能評価、及び多孔質薄膜内に導入した際の糖分離能評価を目的とした。世代の異なるG4及びG5のB-Azo-Cb/PAMAM複合体に対する糖応答能(D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース)を調べたところ、全ての糖においてにアゾ基由来の340nm付近のピーク吸光度の減少が観察された。この減少はD-フルクトースに比べD-グルコースやD-ガラクトースなどの二点認識の糖で顕著に見られていることから、糖を二点認識した際にアゾ基同士の距離が近くなり、隣接したアゾ基同士の会合が起きていると考えられる。これはG4複合体に比べより密にアゾ基が集積しているG5複合体でこの吸光度の減少が大きいことからも説明できる。また静電的な集積系と同様に、デンドリマーの世代により異なる糖選択性が観察された。またデンドリマー複合体の応用展開として、PAMAM複合体含有酢酸セルロース膜に対する糖透過量の時間変化を観察したところ、G4ではD-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトースの順で、G5ではD-グルコース、D-ガラクト-ス、D-フルクトースの順で糖の輸送能が大きい事を見出した。これは、原相と受相のpH勾配によりボロン酸による固定キャリア型の輸送が起こるためと考えられる。また興味深いことに、この糖分離能は溶液中での糖の認識機能と一致することが明らかとなった。
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