研究概要 |
ポリジアセチレン主鎖とドーパントとの電荷移動相互作用によって導電性が発現することを期待し,主鎖と側鎖が共役したポリジアセチレンを与える可能性があるモノマー誘導体として,3-ピリジル基や(ジアルキルアミノ)フェニル基などが置換したブタジイン誘導体の合成を行った。少なくとも一方の置換基としてはω-ヒドロキシルアルキル基を導入した。さらに,種々のイソシアナート誘導体と反応させて,重合性配列を取りやすくなるようなウレタン誘導体とした。合成したウレタン誘導体の多くは固相重合性を示した。ドナー性の強い(ジアルキルアミノ)フェニル基が置換した誘導体とTCNQとを混合したところ,電荷移動錯体の形成を示唆する色の変化が見られた。一方,ゲル状態でポリジアセチレンの共役1次元鎖がそれぞれ孤立したような状態を形成する可能性がある誘導体として,3,4,5-トリドデカノキシフェニル基を有する誘導体の合成も行った。いずれの化合物も結晶では固相重合性を示し,有機溶媒中においてゲルの形成が確認された。しかしながら,ゲル状態では顕著な固相重合性を示さず,結晶状態との分子配列の違いが示唆された。また,ポリマー単結晶のポリマー主鎖と垂直な結晶面を電極基板に付けるための基礎検討として,ラジカル開始剤を用いて重合して得られた表面修飾ポリジアセチレンナノ結晶を,反応性シランカップリシグ剤で修飾したガラス基板と反応させ,ナノ結晶の固定化条件を検討した。さらにいくつかのブタジイン誘導体については,本年度導入したオートマティックポーラリゼーションシステムによって酸化還元電位等を評価した。
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