研究概要 |
これまでに代表者は不斉リン原子を主鎖骨格に有する光学活性18-ホスファクラウン-6誘導体の合成に成功してる。そこで本年度の研究では、空孔サイズ(環員数)の異なる光学活性15-ホスファクラウン-5、21-ホスファクラウン-7誘導体の合成を試みた。合成反応条件は環員数によって異なり、その最適化条件を詳細に検討することにより、15-ホスファクラウン-5誘導体が単離収率5%で得られ、21-ホスファクラウン-7誘導体が単離収率18%で得られた。これら最適化条件に関しては引き続き検討している。 さらに、光学活性18-ホスファクラウン-6を遷移金属錯体の支持配位子として用い、α,β-不飽和ケトン類に対する芳香族化合物の不斉1,4-付加反応を試みた。その結果、パラジウム錯体触媒として3mol%のPdCl2[(S,S)-18-ホスファクラウン-6]を用い、6mol%のAgSbF6存在下、シクロペンテノンとフェニルボロン酸とを反応させたところ、対応する1,4-付加生成物であるフェニル置換シクロペンタノンが収率90%かつR体の鏡像異性体過剰率85%で得られることを明らかにした。本反応は、ロジウム等他の金属を用いた場合は効率よく進行せず、鏡像異性体過剰率も15%程度と低い値であった。また、ホスファクラウン以外の配位子を用いたところ、鏡像帯異性体過剰率は著しく低下または逆の立体(S体)を有する生成物を与えた。本反応の反応中間体の補足を試みると同時に、さらなる鏡像異性体過剰率を目指して検討を行いたい。
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