セルロースの分解反応をさらに効果的にするために以下の検討を行った。塩化リチウムを添加するとセルロースの分解効率が上がることが示唆されていたので、添加量を増やして分解反応を行ったところ、添加量に比例して、見反応セルロース残渣が減少しつつ、グルコースの収率が向上することがわかり、最終的に1.5gの塩化リチウムを添加するとグルコースの収率を40%以上にすること成功した。このとき、水相を乾固した成分には塩化リチウムとグルゴースしか含まれておらず、イオン液体に汚染されていないグルコースを得るごとができた。イオン液体は抽出により99%以上回収できた。このときTFSAアニオンの塩化物アニオンによる交換はほとんど起こらず、回収したイオン液体をそのまま再利用することが可能であることがわかった。6回まで再利用してセルロースの分解を行ったがいずれも40%以上の収率でグルコースが得られ、イオン液体も常にほぼ定量的に回収できることがわかった。この方法のバイオマスの有効利用方への展開を目指して、実際のバイオマス(山口大学常盤キャンパスで採取した落ち葉)を用いて同一条件で反応を行ったところ、2wt%の収率でグルコースを得ることに成功した。落ち葉には100%セルロースが含まれているわけではないので、この結果は実際のバイオマスへの展開の第一歩として重要と思われる。また、セルロースを分解して得られたグルコースを使って発酵法によるバイオエタノール生産の検討も行った。しかし、この方法で得られたグルコースは塩化リチウムが多量に含まれており、酵母にとって塩濃度が高すぎたため発酵には至らずエタノールへの変換はできなかった。今後塩化リチウムの効果的な除去が課題として残ることがわかった。
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