研究概要 |
平成21年度は、本研究の中心と成る複数のグルコースが連結されたものに長鎖アルキル基を備えた両親媒性分子の合成を行うための準備段階として、塩化シクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)または銅(I)フェナントロリン錯体を触媒に用いて塩化オクタデシルとを反応させた後、2-アクリロイルオキシエチル基を1-位に置換したグルコースを添加して原子移動重合を行い、グルコースを側鎖に持つモノマーを親水性部位、オクタデシル基を疎水性部位とする両親媒性分子を、重合反応のバッチに依存することなく重合度や添加率を再現性良く合成する手法の確立を目指した。本法では、ラジカル重合の性質上、重合するモノマー単位の数を制御することが困難であるために重合体の重合度には相当数の分布があるものと考えた。従って、ミセルを構成する両親媒性分子の分子長ならびに重合体の親水性の程度にばらつきが予想されるので、アルキル基部位をある程度長くすることで分子間の分子長バランスの均一化を図るためにオクタデシル基を選んだ。次に、疎水性基のかさ高さの重合性への影響を調べるために、オクタデシル基の代わりに疎水性部分として1-ヒドロキシ-2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタンを出発物質として1-クロロ-2,2-ビス(オクタデシルオキシメチル)ブタンの合成を試みているところである。さらにまた、目的とする、複数のグルコースが連結されたものにオクタデシル基を連結した化合物の重合条件についても合成条件を調べ、現在もその検討を重ねている段階である。
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