1.ダイヤモンド表面のカルボキシル基修飾によるSNPs検出 溶液中でCOO-と負に帯電するカルボキシル基をダイヤモンド表面に作製し、様々な組み合わせのDNA二本鎖におけるSingle nucleotide polymorphisms (SNPs)の検出を行った。その結果、ミスマッチのギブスエネルギーを反映した差異が得られ、高感度のSNPs検出に成功した。負に帯電した表面のカルボキシル基COO-とDNAのリン酸基PO4-の間に働く静電相互作用により、target DNAの物理吸着を抑制したため、正確で高コントラストな検出が可能になったものである。 2.ダイヤモンド上のアプタマーによる血小板由来成長因子の高感度検出 アプタマーは、特定のタンパク質や小分子と特異的に結合する短いオリゴヌクレオチドであり、固体表面への固定技術を用いる事で、様々な特定分子を検出するバイオセンサのprobeとしての応用が可能である。アプタマーを介してダイヤモンド基板上に血小板由来成長因子(PDGF)を固定し、検出を行った。ダイヤモンド表面に固定したアプタマーを用いることで、再利用が可能で非常に特異性の高いPDGFセンサを作成することに成功した。さらに、数回にわたる検出の際の安定性も確認された。 3.アデノシン三リン酸(ATP)のアプタマーのよる検出 アデノシン三リン酸(ATP)と特異的に結合するDNAアプタマーを用い、初のダイヤモンド表面上におけるATP検出に成功した。ダイヤモンド表面において、アプタマーを用いることでATPの検出をラベルフリーで行え、濃度に依存した検出が可能であることがわかった。このように、タンパク質やDNAなどの生体分子との結合における高い生体適合性を利用し、安定で再利用性の高いバイオセンサ材料となり得る点が、sp3結合を有するダイヤモンド表面のメリットである。
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