ゴムとシリカナノ粒子から成る複合材料のナノ相分離構造を階層的に制御し、これまでに無い粘弾性を示すソフトマテリアルを創製することを本研究の目的とする研究を実施した。 直径数ナノメートルのシリカナノ粒子を天然ゴムまたはエポキシ化天然ゴムにラテックスの状態で混合した。ゴムのラテックスは、シリカナノ粒子を混合しても、凝固せずに安定であることを確認した。さらに、ゴム粒子の表面に付着するシリカナノ粒子の数をコントロールするために、ラテックスにおけるシリカナノ粒子の濃度を変化させ、アズキャスト膜を作製した。シリカナノ粒子を混合した天然ゴムまたはエポキシ化天然ゴムのラテックスは酸を加えて凝固した。凝固したゴムは乾燥してから、オーブンで150℃に加熱することにより、シリカナノ粒子と天然ゴムまたはエポキシ化天然ゴムとの間で化学結合を形成するように反応を行う検討を行った。 生成物のナノ相分離構造は、透過型電子線トモグラフィーおよび集束イオンビーム―走査型電子顕微鏡を用いて観察し、シリカナノ粒子のマトリックスが形成されていることおよびマトリックスの中に数nmのナノ相分離構造が形成されていることを確認した。観察結果は合成にフィードバックすることにより、厚さ数十nmのシリカナノ粒子のマトリックスと直径約1μmのゴム粒子の分散質とからなるナノ相分離構造を形成し、マトリックスの中に数nmのナノ相分離構造を形成することができた。
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