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クモの糸は力学的に強くてかつ柔軟性があるという特徴を持つことから、繊維に対する21世紀における夢の素材として注目されている。この点から、クモの糸をいかに作るかが重要なポイントである。最近では遺伝子工学的手法でクモの糸の研究が種々されているが、なかなか目的のものが得られる状況に至っていない。そのため、遺伝子工学的手法は量産化という話より、研究段階にあることから、期待が大きいクモの糸を大量生産への道のりははるかに長いと思われる。一方、古くから考えられてきた大量飼育はクモの共食いのために現実的ではないことから、他に大量収集の方法はないものかと考え、大量収集の方法の技術開発を行うことを目的とした。
本年度は、著者の開発したクモの腹から直接的に糸を収集する方法を改善することを第一歩とした。従来から短い糸しか得られなかったことから、いかに長いクモの糸を集めることができるかを試みた。悪戦苦闘の末、数十メートルぐらいの長さの糸は得られるようになった。二番目として、クモの生息地においてらんのうを探すべく調査を行った。しかし、秋から冬にかけて探しまわったがなかなか見つからず、クモの成熟シーズンに場所を特定することが必要であることを痛感した。得られたわずかのらんのうの組織を光学顕微鏡および電信顕微鏡にて観察して、どのように絡み合っているのかを調べているところである。いかに絡み合いを解くのかを試みているが現在のところ、適切な条件は得られるに至っていない。
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