1.カンチレバーと光ファイバー端面間フィネスの最適条件決め カンチレバーの振動モードが冷却されていることを確認するには、振動振幅の周波数スペクトラムを測定し、振動振幅によるエネルギーとエネルギー等分配則との関係から算出する。そのためには、カンチレバーの変位検出感度を向上させる必要がある。本研究ではカンチレバーと変位検出を行うための光ファイバーとの端面に生じたキャビティを用いて冷却を行うが、フィネスを向上させるために、ファイバー端面に金を蒸着することにした。金を蒸着したファイバーを超高真空の原子間力顕微鏡に組み込む必要があるため、専用の蒸着装置を開発した。ファイバー端面への金の蒸着量によってフィネスの値がかわるため、理論計算を行った後、実験的にフィネスが向上する条件を見いだした。 2.変位検出計の高感度化に関する検討 変位検出計の感度を向上させるには、カンチレバーとファイバー間のキャビティだけでなく、光検出系の最適化を行う必要がある。具体的には、変位検出用レーザー、フォトダイオード、アンプを改良し、30fm/(Hz)^0.5の感度でカンチレバーの変位を検出できることが可能となった。来年度はさらに改良をおこない、10fm/(Hz)^0.5を目指す予定でいる。 3.レーザー冷却をアシストするための手法の検討 カンチレバーのレーザー冷却によって到達する最低温度は開始温度に依存する。つまり、開始温度が低いほど、到達温度は低くなる。そこで、レーザー冷却以外の方法を用いて、レーザー冷却をアシストするための手法を検討した。具体的には、ゲインアンプと微分器、カンチレバー、加振用圧電体、変位検出計でループをつくり、カンチレバーの熱振動をダンピングさせることで実効的な測定開始温度を下げる手法を検討し予備実験を開始している
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