本研究は、10-100GW程度のレーザー(光強度はTW/cm^2)を二光束干渉させることで生成できるプラズマの周期的空間密度分布を過渡的なダイナミックホログラム(「プラズマホログラム」)として記録し、1TWを超える高強度レーザーパルスで再生することで、高強度レーザーパルスの波面、スペクトル時間発展、パルス波形という時空間にわたるあらゆるパラメーターを高効率にかっ自在に制御する革新的な研究分野「プラズマホログラムによる高強度レーザーシンセシス」を開拓しようとする挑戦的研究である。 コヒーレントな二光束をシリカガラス板表面に集光させると、「プラズマホログラム」と同時にアブレーションされたガラス表面にも静的な回折格子が刻まれるため、二重の回折格子が生じると考えられる。 この二つの寄与を分離するため、前方縮退四光波混合配置によるポンプ-プローブを用いてレーザー強度に対する「プラズマホログラム」の回折効率および緩和時間を測定した。回折光は閾値フルエンス(~1J/cm^2)以上で発生し、回折効率はステップ関数状に上昇する。このことから回折光はシリカガラスの3次非線形光学効果によるものではなく、「プラズマホログラム」によるものであると考えられる。また、回折効率は5-10psの時間スケールで急速に低下することがわかった。この時間スケールはプラズマ拡散時間と一致することから「プラズマホログラム」の緩和時間であると考えられる。観測された回折効率は約3%であったが、電子生成のアバランシェモデルとプラズマの誘電率を示すドルーデモデルを用いて解析した値とオーダーが一致した。
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