本研究では流体中に分散させた導体微粒子に対し、変動磁場を印加することにより粒子を回転させ、このとき粒子間に働く流体力学的な斥力と磁気モーメント間引力の制御により、デバイスなどに利用可能な高い秩序を持つ結晶構造を自己組織化的に実現する技術を確立することを目的とする。本年度は、自己組織化的配列構造の作製に寄与する、流体力学的斥力と、磁気モーメント間引力というふたつの相互作用について、実験及び数値シミュレーションからその大きさ、到達時間などの性質を決定し、より微細な周期構造を作製するために必要な条件を定めた。その結果、流体相互作用が単なる2体相互作用の線形の重ねあわせではなく、間に入った粒子の運動状態に依存する多体間相互作用であることが実証された。この知見を元に、印加磁場等の条件を変化させることのできる、微小結晶格子配列用の磁場印加装置を作製した。この装置では、強力な磁場を発生し、かつその向きと大きさを高速で変化させることができるように、四重極の電磁石を配置してある。電力系の最適化により、kHz域での高速変調磁場の生成が可能になった。この装置により、2個から数10個の粒子多体系について、結晶配意の構成を試みた。その結果、作製される結晶のコヒーレンシーが、対称性のよい結晶ドメインを作りうる場合に特に安定な構造が実現することが明らかとなった。この安定性を、結晶の寿命ならびに結晶構造のゆらぎの観点から定量的に評価した。
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