研究概要 |
複雑で複合的な現象の計算機シミュレーションの需要は非常に高いが,その実施にはシミュレーションプログラムを作成することが必要であり,多大の労力とコストを必要としている.本研究では,偏微分方程式で記述できる問題(PDE問題)をシミュレートするプログラムを半自動的に生成する新たな方法の研究にチャレンジする.すなわち,入力としての偏微分方程式そのものに加え,境界・初期条件,計算領域情報,問題そのものの情報などを入力とし,シミュレーションプログラムとそのプログラムのドキュメントを出力するシステム(問題解決環境(PSE))の構築を支援する研究を行い,計算工学の分野に貢献する.PDE問題に限ることで,本研究を現実味のあるものとする.初年度である今年は,PDE(偏微分方程式)問題に限定した新たなPSEを構築するためのフレームワークをPSE Parkと称してその研究を開始した.まず,問題記述情報そのものを詳細に検討し,記述すべき情報を洗い出すため差分法を対象としPDE(偏微分方程式)問題を詳細こ分析し,問題記述情報を洗い出した.次に、本研究計画全体に不可欠なこのPSE Parkフレームワークを設計した.また、PSEを構築支援するフレームワークであるPSE Parkの研究のためには、PSEを構成する離散化やプログラム生成をするモジュールも開発を開始した.本研究で研究しているPSE Parkでは、これらの各PSEモジュールが分散コンピュータ上に配置されている場合でも,ユーザはその分散環境を意識せず,各モジュールをつなげることにより,問題を解決するPSEを構築できる環境を考え,具体的にはクラウドコンピューティング環境を意識したPSEフレームワークを設計できた.今後、さらにPSE Parkの研究・開発を進め、製品の開発や研究に必要なシミュレーション環境を容易に構築支援できる手法を提案し,計算工学に貢献したい.
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