研究概要 |
1. 数値解析 昨年度に引き続き,境界が先端をもつ場合に,先端がどのようにまわりの気体の流れに影響を与えるかの研究を行った.具体的には,有限領域(箱)の中におかれた平板の両面あるいは片面が,箱より高い温度に保たれている場合に,平板の先端付近に誘起される気体の流れを数値的に調べた.数値解法としては,ボルツマン方程式に基づく直接シミュレーションモンテカルロ法(DSMC法),およびモデルボルツマン方程式に基づく差分法,を用いた.昨年度に行った予備的計算による情報をもとに,本年度には本格的計算を行った.ただし,本来の目的であるクヌーセン数が小さい場合については膨大な規模の長時間計算(数か月単位の計算)が必要となるため,平成23年度も引き続いて計算を行う 2. 漸近解析 本年度は,静止気体中におかれた扁平な回転楕円体の前半分が高い一様温に,後半分が低い一様温度に保たれている場合に,楕円体に働く力を,漸近理論をもとに調べた (a) 間接解法:まず,補助問題,すなわち,遠方の気体と同じ一様温度に保たれた同じ形の回転楕円体にその軸に平行な一様流が当たる問題,を考え,回転楕円体上の気体の熱流分布を求める.これが分かそと,高田によって導かれた公式により,もとの問題の楕円体に働く力が解析的に求められる (b) 直接解法:もとの問題の不連続な境界温度をフーリエ分解し,最初の数項を取ったものに通常のすべりの境界条件を適用すると,楕円体まわりの流れの場が求まり,それに働く力が求められる (a),(b)を比較することにより,境界温度のフーリエ分解の第1項のみを取れば,正しい力が求められることが分かった
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