本研究の目的は、この将来のXFEL応用を目指したビームスプリッターを作製することにある。現在、世界中で将来必要との認識されているものの、その製作が極めて困難であるために作製には成功していない。XFELが極めて強度が強いために、試料が厚い場合吸収があり、それによる温度上昇のため、素材が蒸発する。計算により1μm以下にする必要があり、これが困難性を高めている。 機械加工、イオンビーム加工を用いた「正攻法」により挑戦されているが、結晶性を維持しながら微小領域を薄膜化することは極めて困難であると考えた。 本研究では、これら「正攻法」に対抗して「SOI(Silicon On Insulator)を用いたX線用ビームスプリッターの作製」を提案し、具現化を目指す。本研究期間において、実際のビームスプリッターの作製とSPring-8での評価を行った。 本研究の計画は、XFEL用ビームスプリッターの作製と評価に大別できる。初年度の平成21年度では、ビームスプリッター用の循環型のエッチング装置を作製した。 1-1 SOIウエハを用いたX線ビームスプリッターの作製 φ1mm領域のみをエッチングするためにアルカリエッチング装置を開発した。初期段階は、エッチング速度を向上させるために、溶液を噴きつけながらエッチングを実施した。 1-2 SPring-8での薄膜表面の結晶性の評価 SPring-8において、X線のブラック反射を利用し、表面の結晶性の評価を行った。しかしながら、反射像にムラがあった。これは、内部応力により、変形が生じたことが原因であると考えられる。
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