研究概要 |
フェムト秒レーザなどの超短パルスレーザを用いた加工では,レーザの強い電場により,自由電子の温度が,格子イオン温度よりも十分に高い非平衡状態(2温度状態)を経て,レーザ照射後に格子イオンの加熱が始まる.この時,非平衡状態において電子が,原子,分子から直接取り去られる原子の直接加工が実現すると考えられているが,原子加工を可能にする技術は未だ確立していない.本提案では,原子オーダーの加工を実現するためのパルストレインビームによるレーザ加工技術を新たに提案している.パルストレインビームは,複数のフェムト秒パルスが連結されるビームであり,数ピコ秒の間に複数のフェムト秒パルスを連結することも可能である 本年度は,フェムト秒レーザを波形成形して数ピコ秒の間に複数のフェムト秒パルスが連結されるパルストレインビーム(1fs=10^<-15>s)を発生させる装置の構築を行った.同装置は,フェムト秒レーザーの波長を回折格子によって,分光し,各波長に対し,それぞれ適切な位相差を与えることで,パルス波形を整形するものであり,位相の調節によってパルスの波形を整形することで,加工用のレーザ光の強度の減衰を低減している.さらに,オートコリレータと呼ばれる光パルスの波形測定器の計測原理にもとづき,複数のピークを持つ超短パルス波形を測定する装置を設計構築し,整形したパルスの時間分解波形計測システムをあわせて構築し(時間分解能,10fs)構築した波形のモニタリング実験を行った 基礎実験の結果,設計した装置に置いて,パルス幅100fsの2連パルスの整形および,そのパルス波形の観察が行えることを実験的に確認した
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