研究概要 |
本件研究の目的は,申請者らが開発した,米ぬかを原料とする硬質多孔性炭素材料RBセラミックスの粒子を合成ゴムなどのエラストマーに配合することにより,水や油などの流体存在下におけるエラストマーの高摩擦化,及び耐磨耗性の向上を実現することである. 平成22年度では,RBセラミックス粒子を配合した合成ゴムが水潤滑下,油潤滑下において高摩擦材料として利用可能な相手材料を明らかにした.3種類の平均粒径(145μm,409μm,776μm)のRBセラミックス粒子をそれぞれ5mass%ずつ配合した合成ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)を作製し,実験に供した.相手材料として,アクリル樹脂(HV:0.20GPa),ステンレス鋼SUS303(HV:1.84GPa),軸受鋼SUJ2(HV:7.51GPa)を用いた.その結果,水潤滑下,油潤滑下ともに,相手材料がRBセラミックス(HV:3.90GPa)よりも軟質な場合,RBセラミックス粒子を配合したゴムの摩擦係数は,未配合のゴムに比べ高い値を示した.これは,RBセラミックス粒子のマイクロスパイク効果と水膜・油膜吸収効果が発現したためであると考えられる.一方,相手材料がRBセラミックスよりも硬質な場合には,RBセラミックス粒子未配合のゴムに対するRBセラミックス粒子配合ゴムの摩擦係数の増加の割合は小さく,粒径によっては低下する場合も見られた.これは,相手材料がRBセラミックスよりも硬質であるため,上述のマイクロスパイク効果が発現せず,水膜・油膜吸収効果のみが発現したためと考えられる.以上のことから,RBセラミックス粒子配合ゴムは,RBセラミックスよりも軟質な相手材料に対して,RBセラミックス粒子のマイクロスパイク効果,水膜・油膜吸収効果が得られることから,高摩擦材料として応用可能であるといえる.
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