研究概要 |
長寿命で耐振動性などの特長を備えた小形で低コストな極薄ジャイロを実現することを目的として,本年度では薄形多軸ECFマイクロレートジャイロを開発した.たとえば,1軸ジャイロを2つ用いても実現できるが,本研究ではひとつの閉じた環状流路内に2軸の検出部を設けることで薄くて小形の2軸ECFマイクロレートジャイロを実現した.薄形2軸ECFマイクロレートジャイロにおいて,まずホットワイヤ.距離の最適化を行い,ホットワイヤ.距離が2.9mm(印加電圧:0.74kV)のときに良好な特性が得られることを確認した.駆動電圧の低電圧化を試みて,より小さい電極間隔(40μm)を有するECFジェット発生器を用いることにより51%の電圧(0.38kV)で駆動できることを確認した.さらに,2軸まわりの角速度が印加された場合の相互干渉(クロストーク)について検討して,精度よくノズル-ホットワイヤ部の設置ができればクロストークが十分小さくできることを確認した.以上の検討を基にして,3軸ECFマイクロレートジャイロを試作し,流路構造を最適化することにより3軸まわりの検出部において生じたノイズを小さくすることができ,3軸の角速度の検出が可能であることを確認した.また,MEMS技術を用いて,新たなECFジェット発生部と流路を製作し,それらを有するより極薄(500μm)のECFマイクロレートジャイロを試作し,その有効性を実験的に明らかにした.
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