研究課題
微小なグラフェンのカップが数多く積層してできているカップスタック型カーボンナノファイバー(CSCNF)を試料として、そのカップ間隔を人為的に操作することによる熱伝導率の変化を定量的に計測することを目指している。本年度は試料の準備と計測法の開発を行った。まず、CSCNF周囲のアモルファスカーボンを除去する方法を確立した。具体的には、大気中500℃1時間の熱処理を加えることでグラフェンの完全配列すなわちカップスタックのみの構造へと精製できることを高解像度透過型電子顕微鏡で確認した。計測法としては、高周波数の3ω法に「その場」計測を可能とするナノセンサを組み合わせる予定であり、そのためのロックインアンプ(スタンフォードリサーチシステムズ・SR844)を調達して周波数範囲の確認と基本回路の製作を行った。センサについては、これまで用いてきたT字一体型プローブ法と基本的に同じ構造を採用しているが、「その場」計測のためにプローブとなるCSCNF試料がセンサ基板のエッジから突き出した構造となるように改良した。具体的には、シリコンウエハのエッジ近傍にPt薄膜の熱線を形成し、その熱線にCSCNF試料をセットする技術を開発した。ただし、今のところ静電気によるセンサ破壊の問題が発生していることと、片持ち状態へのCSCNF試料の接合の成功率が低いという問題が未解決であり、来年度中の計測実現に向けて研究を続けている。
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Proc.ASME 2009 2nd Micro/Nanoscale Heat & Mass Transfer International Conference, Dec.18-22, 2009, Shanghai, China, MNHMT2009-18356 MNHMT2009
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