研究概要 |
近年,内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dis-section : ESD)という内視鏡を用いた方法を用いると20mmを超える大きな病巣にも適用でき,かつ完全切除が可能であり,癌の再発をおさえることができる.本研究では内視鏡による内視鏡的粘膜下層剥離術を円滑,確実,安全に行うことを可能とする外骨格型マイクロロボットのための基盤技術に関する研究を行い,以下の成果を得た.(1)外骨格型マイクロアームの構造設計,製作と制御を行った.厚膜フォトレジスト(SU-8)とめっきを利用して,柔軟関節と外骨格構造を有する腱駆動型のマイクロアームを製作し,関節角度を計測する歪センサを微細加工技術により集積化した.(2)高精度マイクログリッパの構造設計,製作と制御を行った.粘膜をしっかり保持することができるマイクログリッパを厚膜フォトレジスト(SU-8)とNiめっきを利用して製作した.グリッパの開閉機構はワイヤー駆動による弾性変形を利用する方式とし,有限要素法により構造解析を行った.弾性変形部分は,放電加工によって微細加工し,ヒンジ構造を作成した.本体は厚膜フォトレジスト(SU-8)とNiめっきを利用して作成し,組み立てた.(3)ESD支援用マイクロロボットの構造設計,製作と制御を行った.アーム部とグリッパ部をそれぞれワイヤー駆動した場合,各自由度が干渉しないよう,機構学と材料力学をベースとして解析を行った.試作したマイクロロボットを駆動して評価し,干渉が無視できることを確認した.本ロボットを内視鏡先端部に装着し,実装が可能であることを確認した.(4)医学的知見に基づき,これまでのマイクロアームやマイクログリッパの基本設計の見直しを行った.この知見をもとにマイクロロボットを設計し,試作したものを評価した.
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