平成21年度においては、永久磁石型磁気ギア単体の評価と、これを内蔵した磁気ギア内蔵モータの可能性評価の2つについて、同時進行で取り組んだ。 永久磁石型磁気ギア単体の評価については、高効率化を実現するため、回転子の構造に着目した検討を行った。本研究対象である永久磁石型磁気ギアは、同心円状に配置された内外の磁石回転子と、これらの間に配置されたポールピースと呼ばれる固定子で構成され、このポールピースによって磁石磁束を変調することでギアとして動作する。したがって、磁石が回転子表面に張り付けられた表面磁石型の回転子の場合では、永久磁石がギャップ面に露出するため、磁束の空間高調波成分および非同期成分に起因する渦電流損が大きくなる。これに対して、磁石を回転子鉄心に埋め込むことで、空間高調波磁束の影響を小さくする回転子構造を採用したところ、磁石の渦電流損が約半減されることが明らかになった。 磁気ギア内蔵モータの可能性評価については、アウターロータ型の表面磁石モータを比較対象として、これに磁気ギアを内蔵した構造を設計し、性能の評価を行った。その結果、固定子巻線は分布巻とし、ギア比を2:33とすることで、従来の表面磁石モータに対して約2倍のトルクが得られることを確認した。
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