アンテナの場の理論を使わないで、集中回路としてモデル化し、そのパラメータを測定により求める手法を提案した。 本研究では、磁気結合型のヘリカルアンテナを中心に理論とその実証実験を行った。まず、直列型等価回路でモデル化して、Sパラメータの理論式を求めた。次に、ネットワークアナライザでその値を求めたが、周波数領域での形がまったく一致しなかった。 そこで、直並列型等価回路を提案し、理論的なSパラメータと実測のS御パラメータを比べた。自己共振周波数、自己共振時の実数および虚数インピーダンス、反自己共振周波数を用いて、4つに未知パラメータを同定した。その結果、Sパラメータにおいて、ほぼ理論と実験の一致を確認した。 この理論式より、伝送効率向上の方策として、以下を提案した。1.アンテナの内部損失を低減するために、最適なリッツワイヤを選定した。2.アンテナのLとCの値を調整して、共振周波数を実験装置の発信周波数と一致させた。3.伝送効率の式を求めて、その値が最適となるギャップを求め、それが最大になるようにハードの工夫し、この状態で実験を行い電力伝送の効率を測定した。 まず、ヘリカルアンテナ2個(コイル半径15cm、巻き数5)を用いた場合の最高効率は、ギャップ8cmの距離において、効率99%が観測された。 しかし、本来の目的は1mの距離での電力伝送であるので、複数のアンテナを用いて伝送距離を広げた。その結果、距離50cmにおいて、伝送効率70.8%、距離60cmにおいて、伝送効率63.1%が、また、距離1mにおいて伝送効率20.0%が実測された。ただし、その理論的な説明はまだ完全にできてないので、今後の課題として、次年度も検討を続ける。
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