研究概要 |
空調,ファン,ブロアなどの商用電源による一定速用途のモータには,起動器を必要とせずに商用電源で直接起動できる誘導電動機が用いられている。誘導電動機に比較して,損失が小さい永久磁石(PM)同期電動機は,その制御に高価なインバータなどの可変周波数電源が必要なため,可変速用途のみに使用され,一定速用途には用いられていない。本研究では,商用電源でPM同期電動機を一定速駆動するための起動器を提案し,従来の誘導電動機駆動システムに比較して,損失を1/2にするシステム開発を行い,地球温暖化防止に貢献することを目的にする。本提案方式をもとに,具体的に3項目について研究を進め、以下の研究成果がそれぞれ得られた。 1.任意電源におけるPM同期電動機トルク制御の理論展開による新たな学術分野の創出 モータの電流不連続状態を考慮した解析モデルとして電力変換回路とモータを一体化したPM同期電動機のモデルを提案した。提案モデルに基づいて電流零を保持する基本的なスイッチング制御法を導出した。 2.PM同期電動機の起動制御法の確立 負のトルク発生を抑制する制御アルゴリズムを開発し,45%負荷でのPM同期電動機の起動を実験で確認できた。さらなる高トルク発生アルゴリズムの開発を進めている。 3.位置センサレス制御による起動制御法の確立 三相マトリックスコンバータを用いた起動装置でPM同期電動機の位置センサレス制御アルゴリズムを確立し,実験で検証した。提案起動回路でのセンサレスアルゴリズムを開発中である。
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