研究概要 |
近年,ナノ,マイクロスケールの物理化学に関連する基礎研究が進み,ナノファブリケーションが工学の基本的な,横断的技術として重要になりつつある.このようなナノ,マイクロスケールの微粒子・構造の操作技術は,原子・分子配列を操作するメモリーに関する基本操作としても重要視されている.上述したナノ・マイクロ環境において,主たる力は分子,原子間の作用力である.これらの力を介したナノ,マイクロ微粒子・構造の操作および搬送機構を開発する本申請の目的に従い,平成21年度は,理論的にカンチレバーによる原子・分子の機械的パラメトリック共振による操作の可能性を検討し,国際共同研究を実施した.その成果は時宜を得た研究と評価され,Physical Review Lettersに採択された.この理論的検討に基づき,原子間力顕微鏡のプローブ系により,原子・分子との機械的共振を実現するための構造等を検討したが,機械振動だけでは任意の周波数で実現することが難しいとの知見を得た.一方で,電場や磁場励振を利用したプローブ系を検討し,プローブの制御系の検討をすすめ,理論的にはArnoldの舌状の共振領域が存在することをエネルギーの閾値から確認し,実験的に原子・分子操作の作用を実現できる可能性を検討した.逆に,共振によりエネルギーを収集する系の構造をマクロな実験系を組み,平成22年度以降に実験を行う準備を行った.
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