今年度は、本研究の初年度であり、主に超伝導モーターの設計および製作を行った。設計においては、超伝導体表面に大きな磁場強度と縦横磁場分離がたるべく広い範囲にわたって同時に得られるような最適な磁場分布を構成する磁石の形状および配置を数値計算から決定し、小型クライオクーラーを用いて冷却可能な無冷媒式の超伝導モーターを設計した。これに基づき、固定子および回転子の製作を行った。作成した超伝導モーターは一重の真空構造をしており、断熱構造がシンプルで小型化が可能であり、高い断熱性能を実現可能としており、セラミック製の固定子およびネオジウム磁石を埋め込んだ回転子から構成されている。このモーターの軸受け部分には真空シール機構が必要であり、これには、フェローテックの磁性流体シール軸受けを用いたが、これによりモーター容器内を高真空に保つことが可能であることを確認した。現在のところ、冷凍機による冷却実験をおこない、本超電導モーターの断熱性能を検証中であるが、もっとも問題となる輻射による効果は銀薄膜をモーター内面に張ることにより抑制可能であることを確認しており、本研究の目標としている超伝導モーターが実現可能でありことを実証したといえる。今後は本モーターを完成させその性能等を検証する予定である。また、現在、特許申請を準備中である。
|