研究課題/領域番号 |
21656078
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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研究分担者 |
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (80149898)
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
古賀 裕明 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教 (80519413)
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キーワード | 半導体ナノ構造 / 光吸収率 / 太陽電池 / 多孔質構造 |
研究概要 |
平成21年度は、p-n接合InP基板およびn形単層InP基板へ形成したポーラス構造の光学物性・電気伝導特性を明らかにし、高効率太陽光発電素子の実現に向けた基礎的検討を行った。主たる成果を以下に示す。 1.p-n接合InP基板ヘポーラス構造を形成する手法を開発した。p形基板上に形成した厚さ5μmのn形InP層に、基板垂直方向に直線性のすぐれたポーラス構造の形成に成功し、n形不純物濃度や電気化学条件の最適化により、ポーラス構造の孔の径と深さの制御を実現した。 2.p-n接合InP基板へ形成したポーラス構造の光電流特性を明らかにした。ポーラス構造形成後もp-n接合界面の電気伝導特性は整流性を示し、光照射下において電子-正孔対の生成に起因する電流値の増大(光電流)を観測した。光電流の大きさは、ポーラス構造表面近傍の乱れ層を除去することにより大幅に増大し、表面モホロジと得られる光電流値との間に大きな相関があることを明らかにした。また、ポーラス構造の厚さを変えて光電流を測定した結果、大面積を有する孔壁表面でフォトンの吸収が増大することを示唆する結果が得られた。これにより、本手法で形成されるポーラス構造が、超接合光吸収体の基本構造として有望であることが示された。 3.n形単層InP基板へ形成したポーラス構造を光電極とする湿式太陽光発電素子を試作し、その特性を明らかにした。プレーナ基板と比較して、直線性の優れたポーラス構造では光電流が大幅に増大し、その値はポーラス層の深さとほぼ線形関係にあることを明らかにした。これより、ポーラス構造の大きな表面積と優れた光吸収特性が、太陽光発電素子の高効率化に有望であることが示された。
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