将来の光信号処理に必要となる100Gb/sから1Tb/s級の超高速化に向けて、基本素子となる超高速全光学型ゲート機能デバイスの実現が必須である。特に、光実装が簡単で、超大容量・多チャネル化にも対応できる、面型構造光ゲートデバイスの実現が急務である。本研究は、量子ドットと1次元フォフォトニック結晶とを組み合わせて非線形性の増強を行って、高効率、かつ面型構造を有する光ゲートデバイスを実現することを目的とする。平成21年度繰越課題として、面型光ゲートデバイスの高速化に向けたデバイス構造の最適化、および干渉計配置光ゲートデバイスの評価および素子化のために用いる集積化モジュールの基本設計を行った。 平成21年度までに得た結果をもとにして製作した面型光ゲートデバイスの応答速度特性の入射光角度依存性について詳しい解析を行った結果、20psまでの高速光応答の実現性を明らかにすることができた。また、量子ドット/量子井戸近接配置構造による電子の高速移動を用いた高速緩和量子ドット構造の可能性を明らかにした。これらによって、面型ゲートデバイスに適用すべき量子ドット構造の基本設計を行った。 一方、マッハツェンダー干渉計配置による光ゲートデバイスの位相変化量の精密測定の方法を検討し、また、これに使う集積化モジュール構造の基本設計を行った。これにより、面型ゲートデバイスの非線形特性の測定、および超高速光ゲート・モジュールの実現に向けた重要な準備を完了した。
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