研究課題
本センサは磁界印加に対する磁性薄膜の透磁率変化を表皮効果と強磁性共鳴現象を利用して伝送線路を流れるキャリア信号の位相変化として計測することを基本原理とする。ここでは脳磁界計測用差動型センサ素子として高誘電体基板とCoNbZr薄膜を組み合わせたコプレーナ型伝送線路を構成し薄膜磁界センサとして微弱磁界の計測へ適用した。センサ素子には約2GHzのキャリア信号を印加し、磁界に対するキャリアの位相変化を計測した。磁界に対するセンサの位相変化感度は最高で600degree/Oe程度に達した。磁気シールドルーム内において、脳磁界を想定するコイルにより仮想的に微弱正弦波磁界を印加し、11Hzにおいて約1pT程度の磁界検出分解能を得た。このセンサを自発磁界であるα波の発生部位に近い後頭部に近接配置し、得られたセンサ出力からデジタルフィルタによる信号処理を行って脳磁界を評価した。センサ素子は磁気シールドルーム内において、ほぼ同一特性のセンサをレファレンスとして被験者から十分遠くに設置し、外来ノイズ等の抑制をはかった。脳波計を同時に測定し、被験者の目を閉じた状態と開けた状態を繰り返したところ、目を閉じた状態では8Hz~13Hz程度のα波に相当する信号強度が強められる傾向が得られ、これは同時測定した脳波計による測定結果とおおむね対応した。
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Journal of the Magnetics Society of Japan
巻: Vol.35,No.3 ページ: 277-280
巻: Vol.35,No.2 ページ: 76-81