研究概要 |
本研究で我々は,Blasiusにより提案されているCAM植物1細胞モデルを用いてし,CAM生体リズムモデルを制御理論の立場から取り扱っている。これまで我々は,内部二酸化炭素量,細胞質のリンゴ酸および液胞内のリンゴ酸が観測可能と仮定し,測定するのことのできない分子レベルである液胞膜並びの巨視的平均値zや熱力学的平均場近似を用いて得られる液胞膜の非線形特性を推定する適応オブザーバを提案している。制御変数である外部二酸化炭素濃度,気温,外光の強さを変化させたときの分岐特性を解析する.特に,平衡点の安定性について詳細に調べる.4変数の微分方程式系であるため,速いモード(2次元)と遅いモード(2次元)に分割して,ヌルクラインを計算するとともに,平衡点の固有値計算を行った。この結果,2次元では,リミットサイクルは発生しないが,3次元の場合に発生することが明らかになった。ただし,その理論的意味については,次年度の課題となった。さらに,擬リアプノフ関数をエネルギー関数の一種として導入し,ホップ分岐特性との関連付けを行うとともに,適応オブザーバの推定誤差方程式の安定性と制御変数である外部二酸化炭素濃度,気温,外光の強さを変化させたときの分岐特性を解析した。特に,液胞膜の非線形関数が分岐に決定役割を担っていることがわかった。
|