研究課題/領域番号 |
21656110
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
睦好 宏史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60134334)
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研究分担者 |
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60292645)
浅本 晋吾 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50436333)
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キーワード | 高耐久性コンクリート / 塩化物イオン / イオン交換樹脂 / 繊維補強コンクリート |
研究概要 |
本研究の目的は、鋼材腐食に起因する塩化物イオン(Cl^-)の拡散を抑制できる高耐久コンクリートを開発することである。平成22年度は昨年度の実験結果を踏まえて、2種類の実験を行った。一つ目は、陰イオン交換樹脂を含浸させた有機繊維をモルタル中に混入することで、イオン交換樹脂の塩分吸着作用により塩化物イオンの拡散を抑制させることを試みた。二つ目は、昨年度行った実験結果から、イオン交換樹脂をモルタル中に混練した供試体の塩水浸漬実験から、樹脂の混入量を増加すると、塩化物イオンの浸透(拡散)を促進してしまうことが明らかとなり、新設コンクリート構造物への適用は困難であることが判明した。このため、既に塩分を含んだ既設構造物の補修剤としての適用を考えた。すなわち、補修剤としてイオン交換樹脂混入モルタルをコンクリート表面に打ち継ぐことで、内在する塩化物イオンを構造物表面に移動させる逆拡散現象を想定したものである。そこで、塩分を予め混入したモルタルにイオン交換樹脂混入モルタルを打ち継ぎした供試体を作製し、塩化物イオンの逆拡散効果を検証する実験を行った。 上記二つの実験結果より、以下のことが判明した。 1)陰イオン交換樹脂を含浸させた有機繊維による塩化物イオン吸着効果は、含浸させた樹脂量がそれ程多くないこと、および繊維量が2%程度であると、コンクリート中に均一に十分な分散がなされないことなどより、その効果は期待出来ないことが明らかとなった。 2)逆拡散効果を想定した実験から、これによる塩化物イオンの移動が確認され、その効果が期待出来ることが明らかとなった。すなわち、塩害を受けたコンクリート構造物の外側にイオン交換樹脂を混練したモルタルを打ち継ぐことにより、内部の塩分を外側に移動させ、脱塩することが可能であると思われる。
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