研究課題
ここ数年、JISの骨材規格をほぼ満足するにもかかわらず、それを用いたコンクリートが異常に大きな乾燥収縮を生じるような骨材の存在が問題化している。現状では、骨材の特性値でコンクリートに大きな乾燥収縮をもたらすかどうかを判定する技術的な方法がない。このため、実際に使用する骨材を用いたコンクリートを練って、長期間にわたって乾燥収縮を測定する必要がある。これには多大な費用と時間を要し、しかも、品質管理の手法としては非常に使いにくい。この研究では、骨材の特性として弾性係数に焦点を当て、これを超音波法を用いて測定し、骨材のコンクリートの乾燥収縮への影響の大小を迅速簡易に推定する手法の基礎検討を行っている。平成21年度は超音波法を用いて、骨材の動弾性係数を測定する方法を検討した。対象とした骨材は、細かい粒径のものは難しいので、粗骨材とした。手法としては、粗骨材の粒を一粒一粒測る方法、骨材を紙筒に入れて測る方法、骨材をエポキシで固めて測る方法などを検討した。この結果、粗骨材の粒を一粒一粒測る方法が測定法としても比較的簡易で、値も安定したものが得られた。さらに、その骨材を用いたコンクリートの乾燥収縮量のデータがある粗骨材を20種類入手し、簡易測定で得られた骨材の弾性率と乾燥収縮量の関係を見たところ、比較的良い相関が得られた。この結果、本手法を生コン工場での骨材受け入れのスクリーニングテストとして採用できる技術的な目途が得られた。
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コンクリート工学誌2010年2月号 Vol.48, No.2
ページ: 15-23