研究概要 |
平成21年度の研究の目的は,弾性体の衝突理論から導かれた鋼球の半径(r)と弾性体との間の接触時間(T_c)の関係T_c∝rをもとに誘導される接触時間と質量(m)の関係T)_c∝m^<1/3>が,砂礫と弾性体に対しても成立するかを実験的に確認することである。そのため平成21年度は単独砂礫として石球(直径1.0cm,3.0cm,5.0cm,7.0cm,9.0cm)を用いた落下実験を実施した。また,河川の礫は,火山地帯など場所によって比重が変化する場合も想定される。そのため比重の違いによる接触時間の変化も知るため,ガラス球も使用した。実験は,加速度計を設置したステンレス鋼板を使用し,これに石球とガラス球を単独で落下させ,接触時間を計測した。 その結果,落下高さが同一であれば,礫とステンレス鋼板の間にT_c∝m^<1/3>の関係が成立することが示された。落下高さ(h)の影響は,弾性体の衝突理論によればT_c∝h^<-0.1>の関係が報告されている。今回の実験ではT_c∝h^<-0.28>の関係となり,砂礫の直径(質量)により,落下高さの接触時間に寄与する度合いが変化することが示された。今後の砂礫径の推定に当たっての課題点が明らかになったことは意義深い。 また,ガラス球による実験からも,落下高さが同一であれば,ガラス球とステンレス鋼板の間にT_c∝m^<1/3>の関係が成立することが示された。今回用いたガラス球の比重が2.3程度であり,礫の比重は2.65である。よって,軽い比重の礫であっても接触時間から粒径の推定が可能であることが分かった。なお,礫が衝突する場所により接触時間が変化することが示された。接触時間が理由度分布の推定に影響しないような範囲に礫を衝突させる工夫の必要性が示唆された。
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