研究概要 |
平成23年度までに,弾性体の衝突理論から導かれた鋼球の半径(r)と弾性体との間の接触時間(T_c)の関係T_c∝rをもとに誘導される接触時間と質量(m)の関係T_c∝m^<1/3>が,砂礫と弾性体に対しても成立することを実験的に確認した。また,課題であった弾性波の減衰時間の短縮化については,砂礫を衝突させる材料をステンレス鋼板から硬質プラスチック板(POM板)に変更することで解決した。衝突させる材料を変更した結果,弾性波の減衰時間が1/2以下と飛躍的に短くなり,衝突砂礫の分別がより一層行いやすくなった。 上記の改良の結果,複数の砂礫を同時に流下・衝突させても個別の砂礫を分別することができることが確認された。これにより,流下・衝突した砂礫個々の接触時間が求められ,それらから粒径の推定が可能となった。さらに,個々の砂礫の接触時間から推定された粒径をもとに計算される単独の砂礫重量を乗じることで,落下させた混合砂礫群の重量百分率が得られ,粒度分布を得ることができた。この結果(推定粒度分布)と実測(ふるい分け試験)による粒度分布とを比較したところ,推定した粒度分布の方が,平均粒径で約2倍大きく示されていることが分かった。この課題に対しては,流下・衝突させた砂礫の最大径から上位10個の形状を考慮した。形状については砂礫の長軸・中軸・短軸の直交三軸で表される形状係数を用いて,砂礫形状を長円形として個々の砂礫の重量を再計算した。その結果,平均粒径では推定粒度分布が約1割大きくなっているものの,推定粒度分布と実測による粒度分布の形状はほぼ一致した。本研究による砂礫の粒径推定の新しい方法の確立は今後の河床材料調査等の省力化・効率化に大きく寄与し,学術的にも意義深いと考えられる。今後は,これらのシステムの自動化を目指すとともに,流水中でも本手法が成立するかを確認する予定である。
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