研究課題
本研究は、走行空間に反復効果を用いたデザインを行うことで、安全で快適な走行景観の創出に資することを目的としており、本年度は、「『反復効果』に着目した走行空間デザインに関する研究」の2年目である。本研究では、安全で快適な走行景観を意図的につくり出せるパターンデザインを行えるよう、動的視点での反復パターンと印象の関係を明らかにすることを目的としている。動的視点での反復パターンと印象の関係の知見は、施工事例の検討経緯の報告が数例有るだけで、学術的な検証はほとんどおこなわれていない。そこで、本年度はケーススタディとして、交通安全対策が求められる急カーブ区間を設定し、パターンサンプルを作成し、その印象をドライブシミュレータにより確認した。2009年度の交通事故件数は70万件を超えるほど多く、大きな社会問題となっている。特に高速道路では、カーブ区間や分合流箇所でのスピードの出し過ぎによる事故が多く、注意喚起のための看板やカラー舗装による安全対策が行われている。そこで、カーブ区間での路面による注意喚起を対象とし、路面パターンの変化による視覚効果に着目し、運転手への煩わしさを減らしつつ、速度抑制とカーブへの意識向上に寄与するパターンを提案した。パターン変化については、ハンドルとアクセル、ブレーキによる自ら運転を体験できるシミュレーションを用いて、その効果を検証した。最も評価の高かった矢印図形が徐々に形を変えていくパターン変化は、国内の高速道路では事例はない。実用化に向けては、交通管理者との協議や実物実験が必要であるが、視覚効果による交通安全対策の一つの手法を示すことができた。
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日本デザイン学会 デザイン学研究作品集
巻: Vol.16, No.16 ページ: 80-83