研究概要 |
柔軟な構造を用いた免制震システムを最適化によって実現するため,本年度は以下のような成果を得た。 1. 研究代表者らによる,障害物との接触を利用したバイステープルコンプライアントメカニズムの最適化手法を拡張して,指定荷重変位関係を有するような柔軟なトラス構造物を,最適化によって生成した。そのために,指定経路との誤差を定める2種類の目的関数を検討し,また,全部材体積を最小化することにより,部材の少ない最適トポロジーが得られることを示した。 2. 上記の最適化問題は,極めて非線形性が高く,多くの局所解が存在し,大域最適解を得ることは困難である。そこで,多数の初期解から非線形計画法によって最適化を行い,種々の形状をもつ局所最適解を生成し,最適化によって不要な部材を削減して,少ない部材からなる実現性の高いメカニズムを生成できることを示した。ここで,感度係数は差分で近似し,最適化には逐次2次計画法を用いた。 3. 上記の最適化で得られたメカニズムを,骨組構造モデルの基礎部分に設置することにより,水平方向のホワイトノイズおよび記録地震波に対する応答を低減できることを検証した。その際構造物の固有周期やサイズに応じて,メカニズムをスケーリング可能であることを示した。このメカニズムを用いると,小さい変形に対する剛性と,過大な変形を抑制するための剛性を特別な装置を用いないで付与することができる。
|