平成21年度は、以下の3点を明確にした。 1.赤外線放射カメラの動画像の時系列AR処理プログラムの開発完了 NEC-Avio製TVS8500による熱赤外動画像を用い、ピクセルごとに時系列AR解析を実施するプログラムの開発を完了した。熱赤外動画像とAR次数を入力し、AR係数とAIC(赤池情報量基準)をピクセルごとに算出し、その結果を画像として出力することに成功した。本プログラムは、Fortranベースのオリジナルのソフトウェアであり、平成22年度実施予定の実験データ解析に用いる基本プログラムとなる。 2.AR係数と表面熱伝達量との関係に関する数値解析 周囲環境(温度、風)の変動と物体表面温度変動との関係を一次元数値解析するとともに、時系列AR処理を行うソフトウェアを開発した。これは、22年度に実施する実験に先立ち、数値シミュレーション上求められる表面熱流とAR係数との対応を、数値実験として検討するためのものである。本ソフトウェアを用いることにより、本年度の実験において検討すべき環境変動のケースを絞り込むための考察を進めることが可能となっている。 3.サーマルマネキン表面に形成するための薄膜熱流計の作成方針の明確化 本年度は、基本形状物体および人体形状物体の表面熱流を測定するとともに、画像処理によるAR係数との関係を検討する。物体表面熱流の瞬時計測のための方法について文献調査を進め、アプローチの方法を以下のように絞り込んだ。1)物体表面に異種金属薄膜をめっきする方法、2)金属粉を含む塗装を重ねる方法、3)エッチング技術を応用する方法。以上を受け、現在終決定のための予備実験を現在重ねている。
|