研究課題/領域番号 |
21656149
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 教授 (90195967)
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研究分担者 |
杉浦 康平 神戸芸術工科大学, 名誉教授 (00226432)
山之内 誠 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (40330493)
木下 怜子 神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 特別研究員 (20611908)
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キーワード | 瀬戸内海 / 自律圏 / エコロジカル・ユニット / 集水域 / 空間構造 / 共有空間 |
研究概要 |
本研究は、現地調査・文献調査による実態把握と過去の記録の追体験を通して、自律圏と仮説した瀬戸内海域の空間構成原理を考究することを目的としている。瀬戸内海域は海域と陸域を利用して生き続けてきた地域であることから、本研究では、海域と陸域を一体とした地域単位(エコロジカル・ユニット)を設定し、空間を分析している。 本年度は芸予諸島東部から燧灘までの地域を対象に、1.対象地域のエコロジカル・ユニットの設定と、その中で最も空間が理解しやすい大三島西部と大崎上島東部からなるユニットの実態調査、2.大三島の集落の神社の実態調査を行った。エコロジカル・ユニットの設定は5万分の1地形図を用い、その実態調査は「シンボル的な山や小島」「共有空間としての神社の向きや立地」から空間の分析を行った。 1.「大三島と大崎上島からなるユニットの実態調査」では、(1)シンボルとなる最も高い山からユニット全体を見渡せる。(2)(1)の山から、対岸の集落を肉眼で把握できる。(3)海域の方を向いた神社の中には、対岸の突出した岬や神社を意識して建てられたものがある、という実態を把握できた。 2.「大三島の14箇所の神社からみた集落の実態調査」では、(1)内陸の集落では神社は門のように集落の入口にあり、海岸の集落では神社は海域を向く傾向が見られる。(2)12の神社は高波を避ける海抜10m以上の高台にあるが、海抜5m以下の2つの神社は標高20m以上の小山に接する。(3)1940年代の空中写真では、集落周辺の山は尾根近くまで耕作されているが、神社境内の緑地は伐採されていないことが把握できた。 以上を通して、1.島を単位とした地域計画にとどまらず、海域と陸域をセットにした地域単位を用いた地域計画の可能性が考えられること、2.神社の性格は主に集落の立地によって異なるが、安全な場所に位置し、環境を維持してきたことが明らかとなった。
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